金属資源大手のJOGMECと世界最大級の銅生産者であるチリ銅公社(CODELCO)は2025年12月5日、銅原料中の不純物、とくにヒ素を低減する選鉱技術の実用化に向けた協力協定を結びました。今後、CODELCOが保有する鉱山から採取した銅精鉱を使い、共同研究で技術導入の可能性を検証します。需要拡大が見込まれる銅資源の安定供給に向けた取り組みで、日本とチリ両国の資源連携強化にもつながる一手です。
銅は脱炭素社会を支える電動車や再生可能エネルギー設備、情報通信インフラに不可欠で、世界的に需要増加が見込まれています。一方、近年の銅鉱山では鉱石中のヒ素など有害不純物の増加が課題で、従来は低ヒ素鉱石との混合や、ヒ素を揮発させる前処理設備の導入など、コストと環境負荷の高い対策が必要でした。JOGMECは2017~2021年度にかけて経済産業省からの委託事業として不純物低減技術を開発し、宮崎大学や化学メーカーと共同で、浮遊選鉱時に添加する薬剤を工夫することで、ヒ素を含む銅鉱物と含まない銅鉱物を分ける手法を確立しました。
CODELCOから提供された銅精鉱サンプルを用いた試験では、JOGMECの技術が一定の成果を示し、今回の協定締結に至りました。技術が実用化されれば、前処理を大幅に削減しつつクリーンな銅精鉱を低コストで得られる可能性があり、ヒ素など不純物の多さを理由に未開発だった鉱床の開発余地も広がります。ただし、実際の鉱山での連続運転やコスト面の検証など、商業化までに越えるべき課題も残ります。今後の共同研究の成果が、世界の銅供給構造や環境負荷低減にどこまで影響を与えるかが焦点となりそうです。
【プロジェクト情報】
銅原料中の不純物低減技術開発(2017~2021年度)
実施主体 JOGMEC
参画機関 本邦産銅各社、大学など研究機関
source: PR TIMES
